しぃんと静まった夕暮れ

雪を踏むようにゆっくり歩く

音もなくすれ違い、走り去っていく景色


誰も私の中で息づいていないように、

今、

私は誰の中にも息づいていないように思う


気道を広げるように空を仰ぐ

右手に上がる月が、糸のように細い


マンションに干された白いシーツだけが

バサバサと風にはためいている